毎月いくら積み立てれば、老後に使えるお金はどれくらいになるのでしょうか。新NISAの口座を開いたあとでも、この問いにすぐ答えられる人は多くないかもしれません。私たちも毎年1月に目標額を見直すとき、同じところで手が止まります。

月1万円・3万円・5万円なら、20年後にはどこまで届く?

まず枠を確かめておきます。金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円で、両方を併用すると年間360万円まで投資できます。非課税で持てる額は生涯で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。保有期間は無期限で、2024年1月から恒久的な制度として始まっています。

そのうえで、私たちは仮の条件で計算してみました。毎月の額を20年続け、1年分を年末にまとめて積み立て、年率2%または4%で増えると単純化した計算です。年率は、金融庁が過去の積立・分散投資の実績として示した「20年保有で年2〜8%程度、最も多いのは4〜6%程度」という幅(資料を紹介した記事)から、控えめな側を選んでいます。

毎月の積立額別・20年後の試算(年1回複利の単純計算)
毎月の積立額 元本 年率2% 年率4%
1万円 240万円 約292万円 約357万円
3万円 720万円 約875万円 約1,072万円
5万円 1,200万円 約1,458万円 約1,787万円

表の数字は過去の実績の幅を借りて置いた目安で、将来の結果を約束するものではありません。自分の条件で確かめたいときは、金融庁のつみたてシミュレーターに毎月の積立額・想定利回り・積立期間を入れると、運用資産額の目安が出ます。入力の順番は積立投資シミュレーションのやり方をまとめた記事でも整理しています。

数字を並べたあと、どこで考えが止まった?

最初に迷ったのは、何と比べるかでした。生命保険文化センターのページでは、総務省「家計調査」2025年平均の高齢夫婦無職世帯について、可処分所得が月約22.2万円、消費支出が月約26.4万円で、月約4.2万円の不足と紹介されています。年額にすると約50.4万円、20年で約1,008万円、30年で約1,512万円です。

一方、2019年6月3日に金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループが公表した報告書では、2017年の家計調査をもとに月約5.5万円の赤字が20〜30年続くと約1,300万〜2,000万円という計算が示され、「老後2000万円問題」として広く知られました。同じ報告書でも全国消費実態調査(2014年)を使うと月約3.4万円、30年で約1,200万円になると解説記事は指摘しています。物差しを変えるだけで、目標は数百万円単位で動きます。

もう一つは、続けることの難しさです。2020年3月、相場が大きく揺れたとき、私たちは積立を止めるかどうかで言い合いになりました。表の数字は、20年間一度も止めない前提で成り立っています。

毎月の額を決めるとき、私たちは何から確かめている?

いまの私たちは、次の順番で考えています。

  1. 統計の平均ではなく、自分たちの家計で月の不足額を見積もる
  2. 月の不足額に年数を掛け、年額と総額に直して目標に幅を持たせる
  3. その幅に届く毎月の額を、年率を低めに置いた列から探す

1と2の計算は「月の不足額×年数」で老後資金を見積もる記事で詳しく書いています。たとえば月5万円を続けると、元本は30年で1,800万円に届き、月3万円なら50年かかります。私たちは枠を埋めることより、使う時期までの年数と、その間に止めずにいられる額を重く見ています。どの額が合うかは家計ごとに違うので、私たちの数字はあくまで一つの例として眺めてください。

今夜、通帳か家計簿を一冊だけ開いて、先月積み立てに回せた金額を書き出してみませんか。その一行が表のどの行に近いかを見ることが、次の数字を考える足場になります。