今の貯金額と、65歳までに残された年数。この二つを並べたとき、あなたはどちらの数字に先に目が向くでしょうか。50代から老後資金を考えはじめると、「もう遅いのでは」という気持ちが先に立ちやすいものです。私たちは40代ですが、数年後の自分たちを思い浮かべながら、50歳を起点にした計算を紙に書いてみました。
50歳から15年、毎月いくら積み上げる計算になる?
出発点にしたのは、毎月の不足額です。生命保険文化センターのページでは、総務省の家計調査(2025年平均)をもとに、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で可処分所得が月約22.2万円、消費支出が月約26.4万円、差し引き月約4.2万円の不足と紹介されています。
この月4.2万円を年額に直すと約504,000、65歳から30年続けば約15,120,000です。ここから50歳時点の金融資産を引き、65歳までの180か月で割ると、毎月の積立の目安が出ます。手持ちの額は、仮の置き方として50歳代の世帯の数字を借りました。
| 50歳時点の金融資産 | 65歳までに準備する額 | 毎月の積立目安 |
|---|---|---|
| 中央値 300万円 | 約12,120,000 | 約67,333 |
| 平均 1,147万円 | 約3,650,000 | 約20,278 |
出典:三井住友銀行 Money VIVA(「家計の金融行動に関する世論調査」2023年、二人以上世帯・世帯主50歳代、資産を保有していない世帯を含む)
計算の途中で、どこに引っかかった?
一つ目は、平均と中央値の差です。同じ50歳代でも、どちらを出発点にするかで毎月の目安は3倍ほど開きました。平均は大きな資産を持つ世帯に引っ張られやすく、多くの世帯の姿とは限りません。
二つ目は、「2,000万円」という数字の位置づけです。金融庁が2019年6月3日に公表した市場ワーキング・グループの報告書では、夫65歳以上・妻60歳以上の無職世帯で収入が約20万円、支出が約26万円、毎月約5万円の赤字とされ、それが20〜30年続く単純計算で約1,300万〜2,000万円の取り崩しが必要と示されました。月5万円で30年なら約18,000,000。先ほどの月4.2万円とは、もとになった年も数字も違います。どの時点の数字かを書き添えないと、比べているつもりで別のものを並べてしまいます。
三つ目は、月額と年額です。月の不足額に年数をそのまま掛けると、桁が大きくずれます。私たちは計算の欄に「月」「年」と書き添えるようにしました。
自分たちの数字に置き換えるとき、何を順に見る?
考え方の土台は「月の不足額×年数」で老後資金を見る方法と同じですが、50代からは次の順で整理しています。
- 老後の月の支出と収入を見積もり、月の不足額を出す
- 12を掛けて年額にし、老後の年数を掛ける
- 今ある金融資産を差し引き、65歳までの月数で割る
- 運用を含める場合は、目標額から必要な積立額を逆算する
収入の見積もりは世帯ごとに違います。日本年金機構のページでは、令和8年度のモデル世帯の年金額は月237,279円とされていますが、私たちは自分たちの見込み額に置き換えて考えています。
表は運用益を含めない割り算です。金融庁のつみたてシミュレーターでは、目標額からの必要積立額や必要な積立期間も計算できます。入力の流れは積立額と期間を入れて将来の金額を試算する手順にまとめました。
期間の置き方にも変化があります。楽天証券のページでは、2026年12月1日施行の改正でiDeCoの加入可能年齢が70歳未満に広がり、企業年金のない会社員の拠出限度額は月62,000円になると説明されています。割り算の分母をどう置くかは、この変更も含めて考えられそうです。
表の二つの行を見比べていた夫が、ぽつりと言いました。「平均でも中央値でもなく、次の1月はうちの数字で一行足してみようか」。