20年後、30年後のあなたの暮らしを支えるお金は、今日の毎月の積み立てから少しずつ形になっていきます。けれども「毎月いくら積み立てれば、将来いくらになるのか」は、頭の中だけでは見通しにくいものです。この記事では、毎月の積立額と運用期間を入力して将来の金額を自分で試算する方法を、私たちと一緒に確かめていきましょう。

20年後、積み立てたお金はどうなっている?

金融庁は積立投資を、まとめて一度に投資するのではなく、あらかじめ決めた金額を続けて投資する方法と説明しています(金融庁「資産形成の基本」)。毎月の金額が決まっているからこそ、「この金額を、この期間続けたら」という問いを数字に置き換えやすくなります。

その問いを試す道具として、金融庁はつみたてシミュレーターを公開しています。毎月の積立金額(万円)、想定利回り(年率・%)、積立期間(年)を入力して「計算する」を選ぶと、将来の運用資産額(万円)が表示されます。なお、計算ロジックは試算結果を精緻化するため、2025年9月に一部修正されています。

今、確かめておきたい金額はいくら?

シミュレーターを開く前に、二つの数字を手元で決めておくと迷わずに済みます。一つは積立期間です。お金を使いたい時期から逆算して、今から何年あるかを数えます。もう一つは毎月の積立額です。毎月の家計から無理なく続けられる金額を置きます。

ここで気をつけたいのが、月額と年額の区別です。たとえば月3万円の積み立ては、年額にすると36になります。シミュレーターの入力欄は「毎月の積立金額」なので、年額ではなく月額を万円単位で入れます。

次に、運用益を含まない「積み立てた元本」を確かめておきましょう。元本は毎月の積立額×12か月×年数で計算でき、試算結果と見比べるときの土台になります。

20年間積み立てた場合の元本(運用益を含まない)
毎月の積立額 年額 20年間の元本
1万円 12 240
3万円 36 720
5万円 60 1,200

この表の金額は、払い込む金額を単純に足し合わせたものです。運用による増減や税金は含んでいません。

条件を変えると、将来の金額はどう変わる?

シミュレーターに入力する手順

  1. 金融庁のつみたてシミュレーターを開きます。
  2. 「毎月の積立金額」に、決めておいた月額を万円単位で入力します(月3万円なら3)。
  3. 「想定利回り(年率)」に、比べたい年率を%で入力します。
  4. 「積立期間」に、お金を使う時期までの年数を入力します。
  5. 「計算する」を選び、表示された将来の運用資産額を書き留めます。

想定利回りを一つに決めない

想定利回りは、試算のために自分で置く年率の仮定です。そこで、毎月の積立額と積立期間はそのままにして、想定利回りだけを変えて何度か計算してみましょう。低めの仮定と高めの仮定を並べると、一つの数字ではなく「このくらいの幅がありうる」という見方ができます。先ほどの元本と比べれば、条件ごとの差も読み取りやすくなります。

手元のメモを見ながらノートパソコンに積立の条件を入力している人

差が生まれる理由の一つが複利です。複利とは、運用で得た収益を元本に加えて、さらに運用する仕組みのことです。積立期間を延ばすと、払い込む元本自体も増えるため、各期間の払込元本と試算結果を並べて比べると、条件ごとの違いを確認しやすくなります。

試算結果を読むときに覚えておきたいこと

  • 試算結果は、自分で設定した想定利回りにもとづく試算であり、実際の運用成果とは異なり得ます。実際の投資では元本割れが生じる可能性があります。
  • 公表されているページでは、計算に使う詳しい数式や、積み立てを月の初めと終わりのどちらで行う想定なのかまでは示されていません。
  • 信託報酬などの運用コスト、税金、物価の上昇が結果に含まれているかどうかも、公表ページからは読み取れません。表示された金額は、手取りの金額と同じとは限らない目安として受け止めておきましょう。

数字の幅を知ることは、不安を大きくするためではなく、備え方を選ぶための材料になります。焦らず、一つずつ積み上げていきましょう。

NISAの枠と照らし合わせると、何が見えてくる?

試算した毎月額をNISAのつみたて投資枠と照らしておくと、次に考えることが見えやすくなります。2024年1月に始まった現行制度では、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円で、月額に単純換算すると10万円です。非課税保有期間は無期限で、非課税保有限度額は成長投資枠と合わせた総枠で1,800万円です(金融庁「NISAを知る」)。

入力した月額を年額に直し、年間投資枠の120万円と比べてみましょう。制度の全体像は新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠と非課税保有限度額1,800万円の基本で整理しています。

また、つみたて投資枠の対象商品は金融庁が一覧と概要を公開しており、2026年9月7日付で更新されています(金融庁「つみたて投資枠対象商品」)。商品を検討する段階になったら、最新の一覧を確かめるところから始めましょう。

試算のあと、あなたは何から始める?

シミュレーターの数字は、未来を決めるものではなく、今の選択を考えるための目印です。結果を見て「思ったより少ない」と感じたときも、積立額を上げることだけでなく、積立期間を見直す、想定利回りの幅を確かめ直すといった複数の方向から考えられます。収入や家族の状況が変わったときにも、同じ手順で試算し直せます。

今日からできる小さな一歩として、次の三つを試してみませんか。

  • お金を使いたい時期までの年数を数え、メモに書き出す
  • 毎月無理なく続けられる積立額を決め、年額に直して確かめる
  • つみたてシミュレーターに入力し、想定利回りを2〜3通り変えて結果を書き留める

小さな数字の確認も、未来のあなたへの確かな準備になります。一緒に、一つずつ積み上げていきましょう。