年が明けて最初の週末、私たちは毎年、老後資金の目標額を見直しています。今年の紙に、妻が一行だけ書き足しました。「株と現金は、どのくらいの割合で持っておくの」。目標額は夫婦で決められても、その中身の割合までは決めていませんでした。資産配分のシミュレーションを手がかりに、まず確かめられる金額から順に見ていきます。

20年後、どんな割合で持っていたいでしょうか

資産配分とは、手元の金融資産をどの種類で、どの割合で持つかを決めることです。J-FLECのページでは、値動きやリスクの異なる資産を組み合わせると価格変動リスクの軽減が期待できると説明されていますが、リスクがなくなるわけではありません。

年齢と目標額だけから、誰にでも当てはまる一つの比率が決まるわけではありません。年齢は考える材料の一つですが、収入や保有資産、投資経験、これから起きるライフイベント、値下がりに耐えられる気持ちの面まで含めて考えるものだと公的な資料は説明しています。

いま確かめる金額は、三つです

ツールに入力する前に紙に書くのは三つです。今ある資産の合計、そのうち現金・預金の額、そして目標額。ここから目標額との差が出ます。あわせて、その資金を使い始めるまでの年数を決めます。

もう一つ分けておきたいのが、使う時期です。数年内に使うお金と、当面使う予定がなく値下がりを受け入れて置いておけるお金は、同じ欄に並べないほうが考えやすくなります。

参考として、家計全体の現金の比重も見ておきます。日本銀行が2026年9月17日に公表した速報では、2026年6月末の家計の金融資産2,519兆円のうち、現金・預金が1,132兆円で44.9%でした。これは家計全体の姿で、あなたに合う比率を示す数字ではありません。

出典:日本銀行「参考図表 2026年第2四半期の資金循環(速報)」

条件を変えると、毎月の額はどう動く

ここからは、私たちが紙に置いた仮の数字です。目標額2,000万円、すでに準備できた額600万円とすると、差は1,400万円。利回りを考えず元本だけで埋めると仮定して、残り年数で割ってみます。

差を元本だけで埋める場合の毎月の額(仮の条件)
使い始めるまでの年数 毎月の額
20年 58,333円
15年 77,778円
10年 116,667円

年数が半分になると、毎月の額はおよそ倍になります。利回りを含めた計算は、金融庁のつみたてシミュレーターで毎月の積立額・想定利回り(年率)・積立期間を入れると、将来の運用資産額が表示されます。想定利回りを変えて並べると、将来額がどこまで変わるかを比べられます。このツールは配分そのものを入力して比べる機能ではなく、出てきた金額は概算で、将来の価値を保証するものでもありません。

配分を複数並べて、過去の動きで比べる

株式を多めに持つ条件と、現金に近い預金を厚めに残す条件の差を見るときに触ってみたのが、J-FLECの資産形成タイムトラベルです。預金、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式に毎月1万円を合計100%で配分し、5年から20年の過去の値動きをたどる教材で、配分は5年ごとに変更できます。

株式を厚めにした配分、預金を厚めにした配分、両者を半分に近づけた配分と、仮に三つ並べて動かしてみます。手数料や税金は考慮しない概算で、過去の実績が将来を保証するものでもありません。それでも、下がった年に自分がどう感じるかは、数字を眺めているときより想像しやすくなりました。

株式と現金の比率は、年齢で決まるのでしょうか

年代別の考え方としては、若い世代は中長期の運用を前提に分散した株式等、働き盛りの世代は安全性と収益性のバランス、セカンドライフ世代は安全性と流動性を重視する、という例の示し方があります。他の条件が同じなら、年齢が若いほうがリスク許容度は高い傾向とされます。

ただ、これは「40代なら株式が何%」という比率の指示ではありません。私たちは2020年3月に積立を止めかけて言い合いになったことがあり、その一回で、紙の上の比率と実際に耐えられる比率は別だと知りました。

次に見直すのは、いつにしますか

5年ごとという刻みは、あくまでシミュレーターの設定です。実際の見直しは、家族構成や収入、資金を使う時期などが変わったときに確かめる、という考え方が示されています。

今日できることを一つ挙げるなら、今ある資産、そのうちの現金、目標額、使い始めるまでの年数を、一枚の紙に並べて書くことです。配分を決めるのは、そのあとで間に合います。