月末の夜、食卓に口座の残高を並べる棚卸しを七年続けています。先月の紙には、つみたて投資枠の記録の隣に、数字の入っていない欄が一つ残りました。妻が「こっちの枠は、結局いくらまで使えるの」と聞いたところで、私たちの手は止まりました。新NISAの成長投資枠について、年間の上限は覚えていたのに、生涯の枠との関係をうまく説明できなかったのです。
成長投資枠は、何を非課税にする枠でしょうか?
NISAは、口座内で取得した対象の上場株式等から受け取る配当等と、売却したときの譲渡益を非課税にする制度です。国税庁の資料では、2024年1月に始まった新NISAの投資枠が二つに分けて整理されていて、成長投資枠はそのうちの一つという位置づけです。
| 項目 | 年間投資上限 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 120 |
| 成長投資枠 | 240 |
| 年間合計 | 360 |
年間に投資できる金額は、成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円です。二つは併用できるので、年間合計の上限は360万円になります。この年間投資枠と、次に出てくる生涯の限度額は、別の上限として数えられます。
1,200万円は、1,800万円のどこにある数字でしょうか?
生涯の非課税保有限度額は、簿価(取得価額)で合計1,800万円です。そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までで、これは1,800万円に足す数字ではなく、内側に含まれる数字です。金融庁のページでは、成長投資枠が内数であることが示されています。
非課税で保有できる期間に期限はありません。保有していた商品を売った場合、その簿価に相当する生涯枠は翌年以降にまた使えます。ただし、売った年の年間投資枠は戻らず、使い残した年間枠を翌年へ繰り越すこともできません。
私たちの紙の上では、1,200万円はいつ埋まる?
ここからは、棚卸しの紙に私たちが書いた仮の数字です。成長投資枠の1,200万円を月5万円のペースで埋めると20年、月3万円なら33.3年かかります。一方で、年間の240万円を使い切るには、月あたり200,000円を投じることになります。
この二つを並べて、私たちは年間枠の大きさを基準にすることをやめました。上限が年単位で大きく開いていても、実際に動かせるのは毎月の家計から出せる額です。年360万円と1,800万円の枠を月額から計算した記事でも、同じところで足が止まっています。
つまずいたのは、どの二点でしょうか
一つめは、1,200万円を1,800万円の外側にある別枠だと思いかけたことです。内数だと分かってから、つみたて投資枠で埋める部分がどれだけ必要になるかを書き直しました。
二つめは、商品名だけで対象かどうかを決めようとしたことです。成長投資枠では上場株式、ETF、REIT、公募株式投資信託などが対象になりますが、監理・整理銘柄、信託期間が20年未満の投資信託、毎月分配型の投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託、公社債や公社債投資信託は対象から外れます。
対象商品のリストは随時更新され、買付ができる日も商品ごとに違います。資産運用業協会のページでは、非上場投資信託のリストが2026年10月6日、ETF・REIT等のリストが2026年10月5日に最終更新と表示されています。
老後資金の中で、この枠をどこに置きますか
金融庁は、必要な資金の時期と金額を考え、ライフプランや資産状況に応じて貯蓄と投資を使い分けるよう説明しています。株式や投資信託には元本割れのおそれがあり、長期・積立・分散は価格の変動をある程度抑えるための考え方で、損失が出ない保証ではありません。
手順としては、必要額と毎月出せる額を書き出し、金融機関を一つ選び、本人確認書類等を用意して口座を申し込み、最新の対象商品リストで確かめてから買う、という順になります。NISA口座は一人一口座で、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関に分けることはできません。老後資金の不足額を三つの物差しで計算した記事の数字と並べると、枠の大きさより先に決める額が見えてきます。一つずつ積み上げていきましょう。
先月の棚卸しの終わりに、来年の1月にまたこの二つの数字を並べようと話しました。紙を畳みながら、妻が一言。「240万円の枠より、20年続ける家計のほうが難しいね」