「今から始めても、もう遅いのではないか」。そう感じたことはありませんか。40代や50代になると、残りの働く年数を指で数えてしまい、資産運用やリスク管理対策の話を後回しにしたくなることがあります。
私たち夫婦も40代です。ここでは、私たちが食卓で試した数字と、途中でつまずいた点、そこから整理した分散の考え方を順にお話しします。
お金を使い終えるまで、あと何年ある?
最初に確かめたのは、働き終えるまでの年数ではなく、お金を使い終えるまでの長さでした。厚生労働省が2025年7月25日に公表した令和6(2024)年簡易生命表では、平均寿命は男性81.09年、女性87.13年です(日本家族計画協会の記事)。65歳時点の平均余命も、男性19.47年、女性24.38年とされています(うちこみ!タイムズの解説)。
65歳を過ぎても、男性で約20年、女性で約24年の生活資金を見込んでおく必要がある。この数字を見て、私たちは「退職の日が準備の終わり」ではないと考え直しました。
金融庁のページでは、長期投資によって複利の効果を活かせることが説明されています。運用できる期間が20年前後残るなら、時間を味方にする余地はまだある、というのが私たちの見方です。年数による育ち方の違いは、毎月1万円を20年・30年続けた複利シミュレーションでも並べています。
始める年齢が10年違うと、元本はどう変わる?
次に、始める年齢の違いを元本だけで比べてみました。ここで使う毎月2万円は私たちの実際の積立額ではなく、比べやすくするために置いた仮の数字です。65歳まで続けると、40歳からなら25年で6,000,000、50歳からなら15年で3,600,000になります。
ここで気になったのが、iDeCoの制度改正です。2026年12月に予定されている改正では、加入可能年齢と掛金の上限が次のように変わるとされています。
| 項目 | 現行 | 改正後(予定) |
|---|---|---|
| 加入可能年齢 | 65歳未満 | 70歳未満 |
| 第1号被保険者(自営業者等) | 月6.8万円 | 月7.5万円 |
| 企業年金のない会社員等(第2号) | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
同じ毎月2万円を50歳から70歳まで続けると、20年で元本は4,800,000です。企業年金のない会社員等では、上限の差が月3.9万円、年額にすると468,000になります。上限まで出すかどうかは家計次第ですが、50代からの年数の使い方を考え直す材料にはなりそうです。
評価額が下がった月、私たちは何をしかけた?
数字の上では落ち着いて続けられそうでも、実際にはそうはいきませんでした。2020年3月、評価額が下がった月末の棚卸しで「いったん積立を止めようか」という話が出て、夫婦で言い合いになりました。
振り返ると、つまずいたのは相場の動きそのものより、画面の数字が下がると「全部が同じように下がっている」と感じてしまったことでした。何をどう分けて持っているのかを、二人とも自分の言葉で説明できる状態ではなかったのです。
リスクを抑えるために、何を分けておく?
その後、私たちは分散を三つの軸で整理し直しました。金融庁のページでの分散投資は、値動きの異なる複数の資産を組み合わせて価格の変動を抑え、安定的な運用を目指す考え方です。代表的な方法としては、投資対象・地域・時間の3つの分散がよく説明されています(ソニー生命の解説)。
投資対象を分ける
株式・債券・不動産など、値動きの性格が違うものを組み合わせる方法です。NISAでは2026年度税制改正により、つみたて投資枠の対象が株式中心から公社債を含む投資信託にも広がる予定とされています(三菱UFJ eスマート証券の解説)。
地域を分ける
国内と海外に分けて持ち、一つの地域の値動きだけに全体が引きずられないようにする考え方です。
時間を分ける
あらかじめ決めた金額を継続して買う積立投資です。買う時期が分かれることで、高値づかみや安値での買い逃しを避けやすくなります。2020年3月に私たちが積立を止めずに済んだのは、この分散が「下がった月にも買い続けること」で成り立つと、二人で確かめ合えたからでした。
40代・50代の私たちは、どう組み立てていく?
整理した結果、私たちが今大切にしているのは次の三つです。
- 準備の期間を、65歳ではなく受け取り終える頃まで含めて考える
- 下がった月に慌てないよう、何をどう分けているかを夫婦で言葉にしておく
- 制度の変更は、毎年1月の目標額の見直しで確かめる
どの資産をどれだけ持つかは、家計や働き方、退職の時期によって変わります。私たちの考え方を、そのままあなたの配分に当てはめる必要はありません。50代からの金額の目安を知りたいときは、50代からの老後資金シミュレーションと貯金目安で具体例を計算しています。
今夜、手元の口座を一つだけ開いて、中身を「何の資産か」「どの地域か」「いつから積み立てているか」の三つの欄に書き分けてみませんか。空いた欄があれば、そこがあなたの分散を見直す最初の手がかりになると思います。