あなたは、自分が受け取る年金の額を、月額でいくらと答えられるでしょうか。
私たちは毎年1月に、老後資金の目標額を見直しています。ただ、そのたびに「年金はだいたいこのくらい」と、あいまいな数字を置いたまま話を進めていました。目標額の土台がぼんやりしていることには、夫婦とも気づいていたのだと思います。そこで「ねんきんネット」で見込額を試算し、暮らしに必要な額との差を数字で並べてみることにしました。
ねんきんネットでは、何を確かめられる?
ねんきんネットは、日本年金機構が運営する公式のサービスです。自分の年金記録や見込額を、インターネット上で確認できます。日本年金機構のページでは、見込額の試算には「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」の2つの方法があると説明されています。詳細な条件では、働き続けるかどうか、受給を始める年齢、国民年金保険料を追加で納めるかといった条件を自分で決められます。
条件を変えた複数の見込額を、表やグラフで比べられる点も特徴です。2025年1月には試算の画面と操作方法が見直され、見込額を確かめやすくなったと告知されています。
私たちは、どんな順番で試算した?
利用登録の方法は2つあります。マイナンバーカードとメールアドレスでマイナポータルと連携する方法と、基礎年金番号とメールアドレスでねんきんネットに単独で登録する方法です。単独登録は、アクセスキーを持っているかどうかで手順が分かれます(日本年金機構「ねんきんネット」の登録方法)。
私たちは、次の順で進めました。
- 夫婦それぞれが登録を済ませ、自分のアカウントでログインする
- 「かんたん試算」を選び、今の条件のままの見込額を出す
- 「詳細な条件で試算」で、働く期間や受給開始年齢を変えた結果をもう一つ作る
- 2人分の見込額を紙に書き写し、合計する
- 月末の棚卸しで使っている生活費の数字を、その横に並べる
試算結果はマイナポータルを通じて電子的に受け取ることもできます。書き写す手間を減らしたい場合には、そうした使い方もあります。手元に届いたねんきん定期便から確かめたい場合は、ねんきん定期便で見込み額を確認する手順の記事にまとめています。
見込額と暮らしの差は、どう見えた?
ここからは、私たちの実際の額ではなく、仮の数字で書きます。2人分の見込額の合計が年額2,400,000円、毎月の生活費が280,000円だったとします。
| 項目 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 年金見込額(2人分) | 200,000円 | 2,400,000円 |
| 生活費 | 280,000円 | 3,360,000円 |
| 差(不足分) | 80,000円 | 960,000円 |
この差が受給開始から25年続くとすると、合計で24,000,000円になります。大きな数字を一つだけ見ると身構えてしまいます。けれど月額の差から順に積み上げると、どこから来た数字なのかを夫婦で追いやすくなりました。月の不足額に年数を掛ける考え方は、老後資金を「月の不足額×年数」で見る記事でも整理しています。
途中で、どこにつまずいた?
一つ目は、年額と月額が混ざったことです。2人で書き写したメモには、年額の数字と月額の数字が並んでいました。最初はそれに気づかず、桁の違う数字をそのまま比べかけました。表に月額と年額の列を両方つくってから、ようやく落ち着いて見られるようになりました。
二つ目は、比べる結果が増えすぎたことです。働く期間や受給開始年齢を変えるたびに結果が増え、どれを基準にすればよいのか、話がまとまらなくなりました。受給開始年齢については、繰り下げ受給の増額率と損益分岐を考えた記事に分けて書いています。
三つ目は、年金額そのものが動くことです。日本年金機構のページでは、令和8年度は国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられたと示されています。名目手取り賃金変動率2.1%を基準に、マクロ経済スライドによる調整(国民年金▲0.2%、厚生年金▲0.1%)を反映した改定で、厚生労働省が令和8年1月23日に公表しました。新しく受け取り始める人の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以降生まれで月額70,608円、同年4月1日以前生まれで月額70,408円です。改定を知ったとき、私たちは「試算した数字はもう古いのでは」と、少し落ち着かなくなりました。
揺れる数字と、どう付き合っていく?
話し合って、私たちは試算の結果を「一度で決める答え」ではなく「毎年確かめ直す目安」と受け止めることにしました。比べる条件は、今の働き方のままの試算と、もう一つだけ別の条件を置いた試算の2つに絞っています。比べる数が少ないほど、差の理由を言葉にしやすいと感じたからです。
改定があっても、その場で目標額を動かすことはしていません。1月の見直しのときにねんきんネットで試算し直し、前の年の表の隣に、新しい月額と年額を書き足していきます。1年ごとの変化を並べておくと、その記録自体が次の判断の材料として少しずつ積み上がっていきます。
あなたの家庭で置く条件や生活費は、私たちとは違うはずです。今の条件のままの見込額を一つ、生活費と同じ単位で並べてみるだけでも、見え方は変わるのかもしれません。
表を書き終えた夜、夫がペンを置いて、こう言いました。「来年の1月、この隣にもう一列増やそうか」。