誕生日が近づくと、日本年金機構から「ねんきん定期便」が届きます。日本年金機構の案内では、定期便は年に1回、通常は誕生月の2カ月前に作成され、誕生月に届くように送られています。
私たちは毎年1月に、老後資金の目標額を夫婦で見直しています。その土台になる年金の見込み額を、届いた一枚を眺めるだけでなく、自分たちの条件で計算し直してみたい。そう考えて、公的な道具で試算してみました。ここでは、私たちがたどった手順と、途中でつまずいた点、そこから整理した考え方を順にお話しします。
年金の見込み額は、どこで計算できる?
公的な窓口が用意している試算の道具は、主に次の二つです。
- 公的年金シミュレーター(厚生労働省):生年月日、働き方、就労期間、平均年収を入力すると、将来の年金額がグラフと年齢別の受給額一覧で表示されます。ねんきん定期便の二次元コードを読み込むと、一部の項目が自動で入ります。厚生労働省のページでは、制度を簡略化しているため実際の受給額と異なる場合があると添えられています。
- ねんきんネット(日本年金機構):無料で使え、条件を設定して将来の老齢年金の見込額を試算できます。今の加入状況が続くと仮定する「かんたん試算」と、条件を細かく設定する試算の2種類があります。日本年金機構のページでは、75歳以上の方は利用できないと案内されています。
私たちは、どんな順番で見込み額を出した?
私たちは、手軽なほうから始めて、必要に応じて細かい試算へ進む順番にしました。
- 届いたねんきん定期便を手元に置き、公的年金シミュレーターを開いて二次元コードを読み込みます。
- 自動で入らなかった項目(これからの就労期間や平均年収)を入力し、グラフと年齢別の一覧を確かめます。
- 夫婦それぞれの定期便で同じ作業をして、二人分の結果を並べます。
- 条件をもう少し細かく変えて見たいときは、ねんきんネットに進みます。マイナンバーカードがあれば、事前の利用登録なしにマイナポータル経由でアクセスできます。
- マイナポータルを使わない場合は、日本年金機構の登録手順に沿って「アクセスキーあり 新規利用登録」を選び、利用規約に同意します。アクセスキー、基礎年金番号、氏名、生年月日、メールアドレスなどを入力し、パスワードと秘密の質問を設定して申し込みます。届いた確認メールのリンクを開き、パスワードを入力すると登録が完了します。
ねんきんネットの画面のどこを読めばよいかは、ねんきんネットで年金見込み額を調べる手順と見方で順に追っています。
計算の途中で、どこにつまずいた?
アクセスキーの有効期限
最初に立ち止まったのは、ねんきんネットの申し込みでした。日本年金機構のFAQでは、必要なものはアクセスキー、基礎年金番号、メールアドレスの3点で、アクセスキーの有効期限は受け取りから約3か月とされています。封筒をしばらく置いておくと、期限を過ぎてしまうこともありえます。その場合も基礎年金番号とメールアドレスだけで申し込めますが、ユーザIDは郵送で届くため、約5営業日ほど待つことになります。
月額と年額の取り違え
次に戸惑ったのが単位です。公表される年金額は月額で示されていますが、私たちが1月に見直す目標額は年単位で考えています。月額のまま年単位の表に書き込みそうになり、並べる前に単位をそろえる必要があると気づきました。
モデル年金額は、私たちの額ではない
もう一つは、公表されるモデル年金額を、自分たちの見込み額のように受け取ってしまいそうになったことです。厚生年金のモデル年金額は、平均的な収入で40年間働いた場合の夫婦2人分の額です。夫は企業で経理の仕事をし、妻はパートで働いている私たちとは、前提が違います。
公表された年金額を、月額と年額で並べると?
令和8年度の年金額は、令和8年1月23日に厚生労働省から公表されました。令和8年4月分からの額を、月額と、それを12倍した年額で並べてみます。
| 区分 | 月額 | 年額(月額×12) |
|---|---|---|
| 国民年金(老齢基礎年金の満額、昭和31年4月2日以後生まれ) | 70,608円 | 847,296 |
| 厚生年金のモデル年金額(夫婦2人分、平均的な収入で40年就業) | 237,279円 | 2,847,348 |
前年度と比べると、国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げです。国家公務員共済組合連合会の説明では、名目手取り賃金変動率2.1%を基準に、マクロ経済スライドによる調整(国民年金▲0.2%、厚生年金▲0.1%)を反映した数字だとされています。年額の列は、月額を12倍しただけの計算上の数字です。
見込み額を、老後の計画にどう置く?
試算を終えて、私たちは見込み額を「条件つきの目安」として扱うことにしました。入力した働き方や期間が変われば数字も変わりますし、シミュレーターの結果が実際の受給額と異なる場合もあります。
そのうえで、私たちの家では次の三つを決めました。
- 定期便が届く誕生月に、同じ手順で試算し直す
- 見込み額は月額と年額の両方を書き、1月の見直しでは年額を使う
- モデル年金額は物差しとして眺め、計画には自分たちの試算の数字を置く
以前、保険の見直しを先送りして払いすぎたことがあり、確かめる作業は後回しにするほど重く感じるものだと知りました。年金の見込み額も、年に一度の封筒をきっかけにすると、少し手に取りやすくなる気がしています。見込み額が出たら、次は暮らしの支出と並べる段階です。その計算は年金だけで老後の生活が成り立つかを確かめる試算ガイドでまとめています。あなたの働き方を入れたとき、どの数字がいちばん動くのか。一つずつ確かめていきましょう。
試算の結果を書き写した紙を1月用のファイルに挟みながら、妻がひと言つぶやきました。「来年の誕生月にも、この紙と並べて見てみようね」