毎年1月、お正月の片付けが終わったころに、私たちは老後資金の目標額を見直しています。今年もお雑煮の器を下げたあとの食卓で、夫がふと「短期で売り買いする人は、1年で何回くらい取引しているんだろう」と口にしました。私たちは2018年からつみたてNISAを続けてきましたが、短期取引はほとんど触れてこなかった世界です。そこで、二つのやり方の違いを数字で並べてみることにしました。

1年のうちに、何回お金を動かすことになる?

ここでは分かりやすく、仮の数字で比べてみます。積立投資は、あらかじめ決めた金額を一定の間隔で買い続ける方法です。毎月1万円を積み立てるなら、買付は年12回で、1年間の元本は120,000円になります。売ることは、そのお金を使う時期が来るまで考えません。

短期取引の例としてよく挙がるのがデイトレードです。大和証券の用語解説では、同じ日のうちの売買で収益を得る個人投資家をデイ・トレーダーと説明しています。週2回、買いと売りを1組ずつ行うとすると、注文は1年で208回になります。

1年間で比べた二つのやり方
項目 積立投資(毎月1万円) 短期取引(週2回売買)
注文の回数 12回 208回
売る時期 使う時期まで持つ 同じ日など短い期間で売る
手数料の見方 つみたて投資枠の対象商品は販売手数料ゼロ 約定ごとに手数料がかかる体系がある

手数料の例として、SBI証券のよくあるご質問では、1注文の約定代金ごとに手数料が発生するプランが紹介されています。回数が増えれば、その都度の費用を気にかける場面も増えていきます。

数字を並べる前に、私たちはどこでつまずいた?

回数の差を眺めながら思い出したのは、2020年3月のことです。私たちは積立を止めかけて、夫婦で言い合いになりました。20年先のために始めたはずのお金を、目の前の残高の動きで判断しそうになっていたのです。

J-FLECの学習ページでは、短期間で売買すると一時的な要因で大きく変動したときに影響をまともに受ける可能性があり、長く持つほど損益の振れ幅を小さくする効果が期待できると説明されています。あのとき揺れていたのは、口座の数字よりも、私たちの時間の物差しだったのかもしれません。

もう一つ、税金も確かめました。国税庁の説明では、株式等の譲渡益にかかる税率は合計20.315%で、保有期間の長短で税率が分かれてはいません。違いは税率ではなく、別のところにありそうです。

二つの違いを、どんな物差しで見ればいい?

話し合った結果、私たちは違いを「お金を置いておく時間」と「判断する回数」の二つで見るようにしました。

  • 積立投資:決めた額を買い続け、判断は年に一度の見直しにまとめる。定額で買い続けると購入価格が平均化されるため、高いときにだけ買ってしまうことを避けやすくなります。
  • 短期取引:取引のたびに、買うか売るかを判断する。日本証券業協会の用語説明にある信用取引のように、委託保証金を差し入れて代金や株を借りて売買し、期限内に返す仕組みもあります。

金融庁のページでは、新NISAのつみたて投資枠は年間120万円、非課税保有期間は無期限とされ、対象商品は販売手数料ゼロなど長期・積立・分散に向くものに絞られています。私たちは、この制度を長く持つことを前提にした仕組みだと受け止めています。枠の全体像は新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の基本に、毎月の額と期間を変えたときの金額は積立投資シミュレーションのやり方にまとめています。

どちらが合うかは、そのお金をいつ使うのか、何度も判断する時間と気持ちの余裕があるのかによって変わるはずです。私たちは積立を選びましたが、あなたの答えは、あなたの暮らしの予定の中で見つけていくものだと思います。

表を閉じるとき、夫がぽつりと言いました。「うちは、迷うのは1月の1回で足りるね」。